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不妊治療について

過去4年間の不妊治療実績
~平成16年度から19年度までの治療データまとめ~

治療法(重複あり) 妊娠率 流産率
卵管造影後、漢方またはカバサール及びタイミングのみ 10/41(24.4%) 2/10(20%)
クロミッド全体(重複あり) 16/91(17.6%) 3/16(18.8%)
クロミッド単独 3/25(12.0%) 1/3(33.3%)
クロミッド+漢方併用 3/79(3.8%) 1/3(33.3%)
クロミッド+メトホルミン併用 4/8(50.0%) 1/4(25.0%)
クロミッド+プレドニン併用 6/9(66.6%) 0/6(0%)
注射の排卵誘発剤(pFSH,hMG) 7/33(21.2%) 2/7(28.6%)
フェマーラ 2/31(6.5%) 0/2(0%)
禁煙指導 6/21(28.6%) 1/6(16.6%)
治療休止中の妊娠  8/-(-%) 1/8(12.5%)
人工授精 8/115(7.0%) 2/8(25.0%)
腹腔鏡や開腹手術(内膜症、筋腫) 13/30(43.3%) 2/13(15.4%)
子宮鏡手術(筋腫、ポリープ) 4/11(36.4%) 0/4(0%)
子宮鏡下選択的卵管通水(カテーテル法) 2/7(28.6%) 0/2(0%)
体外受精のため他院へ紹介(男性因子含む) 15/41(36.6%) 4/15(26.7%)

-データから言えること-

上記のデータから、「卵管造影や禁煙指導だけでもかなりの方が妊娠される」ということが言えます。以前は水溶性の造影剤イソビストを使用していましたが、現在のクリニックでは、より妊娠率が高いと言われているリピオドールという油性造影剤を使用しています。

また、クロミッドの妊娠率は低めですが、糖尿家系の方・肥満の方・男性ホルモンの多い方などに絞り、工夫して併用薬を服薬していただければ、かなりの妊娠率が期待できます。しかし、メトホルミンやプレドニンといった薬は誰にでも有効という訳ではないので、あてはまらない(必要ない)方に使用しても妊娠率が上がるとは考えられません。ですから、これをご覧になってすぐに「メトホルミンやプレドニンを使用してください」と言われても、適応しない方には実施出来ませんのでご了承ください。

やはり、手術にはある程度の効果が期待できます。しかし、手術は、初診から1年以上経過し、他の方法を実施した後に決断される方が多いというのも事実です。そのため、明らかに最初に手術をした方が良さそうな方には、早めに決断していただけるような工夫を現在検討しています。具体的には、不妊原因の重要度をスコア化して、より優先的に治療すべきものを示せる方法を検討しています。

体外受精については、年齢だけでは一概に言えませんが、高齢の方も増えているため、「体外受精をすればすぐできるというものでもない」という点も、加えてお伝えしたい点です。ただし、紹介後の経過はわかっている範囲ですので、その後妊娠された方は増えている可能性があります。

フェマーラという薬は元来、乳癌の治療薬ですが、抗がん剤というよりは「ホルモンを変化させる酵素」を抑える薬で、排卵誘発剤としても有効です。一時的に、奇形の発生が増える可能性などがネット上で取沙汰されていましたが、その後クロミッドより奇形発生率が低いというデータが出され、妊娠率でも明らかにクロミッドより高いという報告が出ています。しかし、日本での扱いはあくまで乳がん治療薬ですので、自費での適応外使用ということになります。ですから、フェマーラクロミッドのあとに使うことが多いので、クロミッドで可能な人は除外され、より高度な異常が隠れている方に多く使用する可能性が高いです。そのため、フェマーラは思ったほど妊娠率が上がらなかったのだと考えられます。

どちらにしても、軽い異常の方は軽い治療で妊娠され、高度な異常が隠れている場合には、治療のステップが上がっていくことになるのです。

最後に流産率についてですが、これらは分母自体が少ないので、わずかな差をどうこう申し上げても意味がありません。治療でせっかく妊娠しても流産するかもしれないという現実が、ある一定の確率で待っています(これは年齢で上がっていきます。治療法で流産率が低いものというのはありません)。しかし、みんなそれにめげずに、また立ち直って頑張っているのだということを分かっていただきたいために、あえてお伝えいたしました。

上記は、ごくごく普通の教科書に出てくるようなデータですので、当院の良し悪しという判断の材料になるかどうかはわかりませんが、最近の院長の治療経験をお伝えすることで、今後の治療計画を立てられる参考になれば幸いです。いずれにしても、普通の検査治療の手順の中で、いかに効率よく一番妊娠の邪魔をしていると思われる部分を排除するかが、早く妊娠していただくためのコツだと思い治療しています。うまくいかない場合には、より高度な異常が隠れている可能性があるという事実を、逃げないで直視する勇気を持っていただきたいと思っています。一緒にがんばっていきましょう。

-平成20年3月~平成21年6月までの人工授精の成績-

  平成20年3月~12月 平成21年1月~6月
件数 43件(のべ22人) 60件(のべ33人)
妊娠例 0(妊娠率0%) 3(妊娠率3/60=5%)
不妊原因内訳
  • 原因不明:6
  • 子宮内膜症:2
  • 男性因子:6
  • PCO:1
  • 卵管因子:1
  • 40代の高齢不妊:6
  • 原因不明:13
  • 子宮内膜症:2
  • 男性因子:6
  • PCO:3
  • 卵管因子:0
  • 40代の高齢不妊:6
  • 性交障害:2
  • 頸管因子:1
妊娠例/
その後の経過
  • 原因不明の方のうち、1名が体外受精で妊娠
  • 内膜症の方のうち、1名が腹腔鏡手術後に妊娠
  • PCOの方はクロミッドからフェマーラに変更し妊娠(流産)
  • 40代の方は1名が自然妊娠(流産)
  • 男性因子:1
    2回目:サプリメント内服で精子所見が改善
  • 原因不明:1
    1回目:他院でクロミッドなどで誘発していたが、注射+AIH1回目で成功
  • 性交障害:1
    夫がプレッシャーで排卵日の性交不可能でAIH。クロミッド併用で2回目に成功

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